◯◯を止めたらアーティスト? -アイドルorアーティスト問題の答え-

アイドルシーンの中で数年に一度ぐらいの頻度で話題になることに「◯◯◯はアイドルか?アーティストか?」という話があります。

アイドルとしてデビューをしたものの、キャリアの形成、メンバーの年齢、歌唱を代表するパフォーマンススキル、楽曲の方向性、パブリックイメージなどの理由で「◯◯◯はもはやアイドルじゃないでしょ。◯◯◯はアーティストだよ」みたいな意見が出てくるのですが、往々にしてこの議論はあまりすっきりした答えが出ず

  • 応援してる人がアイドルだと思っているならアイドル
  • アイドル本人が自分のことをアイドルと言っていたらアイドル

というあくまで個人の主観や主張を元にアイドルか否かを追認している感じだと思います。というかそもそも「アイドルなのか?アーティストなのか?」と自己申告する義務や必要もないので、そこは個人の想い次第でしょという結論にはほぼ同意しています。

ただ、その大前提の上で自分の中に一つ”こういう感じになったらアイドルとは呼べないかも””雑にアイドルというくくり方しちゃいけないかも”と思う基準があります。それは…

恋愛感情を営業手段に使わなくなった時

です。
アイドルに恋愛感情を抱くことやアイドルを疑似恋愛の対象にすることは別に良いとも悪いとも思ってなくて、おそらくキャンディーズやピンク・レディーがいた4〜50年ぐらい前からアイドルはそういう側面(性質)を持っているものなのだと思っています。

単に”恋愛感情”と書いてしまうと俗っぽく受け止められてしまいますが、”恋愛感情≒人を魅了する力”と解釈すればそれはその人を価値を計る大事な資質だと思いますし、恋愛感情の正体でもある”ピュアなときめき”は何歳になっても失わない方がいい人間の感受性だと思います。

ただ、アイドルであることは本質的に恋愛感情との結びつきが強くそして深く、それなくしてビジネスが成り立たないところもあるのですが、今まで見てきたアイドルの中に活動のあるタイミングから”そういう売り方”をしなくなったアイドルが何組か頭に浮かびました。

それはファンがその人をアイドルと認識しているとか、アイドル自身が自分をアイドルと主張しているしているかに関わらずです。以前なら「路線を変えた」とか「あ、”そっち”は止めたんだ」とぼんやりとしか受け止めていなかったのですが、もう少し具体的に書くとそれは”恋愛感情をビジネスに使わなくなった”、あるいは”恋愛感情を使わなくてもよくなった”ということなんだと思います。

先に書いたとおり、”それ自体”に良いも悪いもないのですが、アイドル活動をしていく上で恋愛感情は非常に強力なビジネス手段であることは確かなので、”そうでなくなったアイドル”が何を武器にして活動を続けるのか?その新たな武器は”アイドル”であった時以上に魅力的であるのか?みたいなことはよく考えますし、僕の場合はそれを取材をする時のアプローチに使ったりもします。

仕事柄、どうしてもアイドル時代に出会ったり取材させてもらうことが多いのですが、アイドルとアーティストというのは決して相反する存在ではないと思うので、アイドルだった人がアイドルとして磨き上げた魅力を脱ぎ捨てるように(人によっては黒歴史であったかのように)”アーティスト”へ転身していく姿を見ると寂しいなー、勿体ないなーと思ったりもします。

何年か前に東京ドームで初めてポール・マッカートニーのライブを見たのですが、その時のポールは偉大なミュージシャンであると同時にまばゆいぐらいのアイドル性を兼ね備えていたことがとても印象的でした。また、ジャニーズのアイドルたちが年齢を重ねてもアイドルとしての立ち居振る舞いを損なわないのは本当にすごいなと思います。

現行のアイドルムーブメントが始まってから10年ほど経ちましたが、最近は結婚や出産を経てもアイドルとしての活動を継続する人も目につくようになってきました。そういう意味ではアイドルの定義や概念も現在進行系で新たな意味が書き加えられている気がするので、「◯◯◯はアイドルか?アーティストか?」という議論も新しい角度の解釈や見地が加わってもいいのかな?と思ったりしました。

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